2022年08月04日

「あの、すみません……」

 近所のマンションのエントランスにある花壇に薄紫色のアガパンサスが咲いています。
 花びらの真ん中に走る線がきりっとした印象ですね。すっくと立つ姿もけなげで涼しげです。
 暑い日も元気に咲いてくれる花。見ているとなんだかうれしくなります。

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 先回も書きましたが、あまりに暑いのでだいたい夜に日課の散歩をしています。

 家を出るのは夜9時ごろ(くつろぎタイムに出て行くので始めのころSatoshiは不満のようでした)。
 速足で45分間くらい歩きます。風がない日は夜でも空気がむあっとしていてじっとりと汗ばみます。

 近くにある古い建物や大使館、公園のまわりをぐるっと歩いているので、大通りに出たときや地下鉄出入り口あたり以外は行き交う人もあまりいません。
 歩きながら気になることをいろいろと考えたりします。集中できる、いい時間です。

 そんなある日の夜、だいぶ家のほうまで戻ってきたころ。後ろのほうから女の人の、『あの、すみません。すみません』と呼びかける声が小さく聞こえてきました。夜だから聞こえるようなかすかな声です。

『あの、すみません。お金、落とされませんでしたか?』
 後ろから今度ははっきりした声が聞こえてきました。さっきの場所より500メートルほど先の、いまはもうさびれてしまった小さな古い商店街を歩いていたときです。

 振り向くと、小さなプードル2頭を引き連れた若い女の人が立っています。千円札を握っています。
 わたしはその日の帰り、コンビニでマスクを買ったので小銭入れを持って歩いていました。でも中に入っていたのはコインだけです。
 
 あ、いえ、わたしではありません。

 彼女はがっかりしたようすです。
(ちょうど犬の散歩の通り道だったかもしれませんが)ここまで追いかけてきてくれたことがわかって、わたしもすごく申しわけないような気持ちになってしまいました。

 話はたったこれだけのことです。
 でも、よいできごととして心に残っています。 
 夜、人はあわただしい昼間よりやさしくなるのかもしれません。おもしろいですね。

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posted by shebrokeherwrist at 21:07| Comment(0) | 女性シニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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