2018年07月31日

3年半目の夏

 タクシーは二の橋から仙台坂を上がり、有栖川公園に沿って走ります。左側にドイツ大使館のベルリンの壁にちなんだ壁画が見えます。道なりに走って外苑西通りに出てから右に折れ、すぐ先にあるカフェ デプレのそばの道を入るとあと少しで病院に着きます。

DSC_14011.jpg

 台風12号が発生して関東地方に向かっていた7月27日。この日はSatoshiの診察日でした。肺がんの手術をしてからもう3年半たっています。
 ひょっとしたらなにかあるかもしれない、ついそう思ってしまうのでしょう。彼はこの3、4日少しナーバスになっていました。

 病院に着いたのは朝8時すぎ。診察の予約は10時ですが、その前に血液検査やCT検査をします。検査はスムーズにすすみ、はやく終わりました。呼び出し器の合図があったのは10時ちょっと前です。
 
「とくに問題はありません。いいと思いますよ」
 ずっと診てくださっている呼吸器外科の先生がいつもの笑顔とやわらかい口調で検査の結果を説明してくれます。
 Satoshiはほっとしたような、そのほっとした気持ちをぐっと抑えているような、微妙な表情で聞いていました。

 血液検査の数値は基本的に問題ありませんでした。
 CTの画像では、がんを取り除いた右側の肺は3分の2ほどの大きさになっていますが、そのぶん左側が大きくなってカバーしているようです。
 新たながんはありません。ただ、肺気腫が少し見られるそう。
 合併症をおこし整形外科で緊急手術をした、ボルトを入れて補強している背中についても、見たところ骨自体が元気になってきている、との診断。

 この日、消化器内科の診察も受けました。2年前に彼が肺炎になったあとに胃の不調を訴えて以来、お世話になっています。
 帰りに1階の花屋さんに寄ってなじみの店員さんたちとおしゃべり。
「あ、若返ったみたい。とてもお元気そうですね」
 そんなふうに声をかけられて、彼は照れくさそうに目を細めています。

DSC_14081.jpg
 
 肺がん手術から3年半後の定期検診はおおむねよい結果でしたが、ある程度年月がたったことでいくつかはっきりしたこともあります。

 たとえば、Satoshiがかかえている膿胸の手術跡あたりの胸の痛み。これまでは、いつか痛みはなくなる、と思っていましたが、すっかりよくなることはないのかもしれません。
 しょっちゅうだるくなる脚は、そんな状態がベースと考えて対応するべきなのかもしれません。
 後遺症とつきあいながら、そこからまた新しく始めていくのです。
 人の体は不思議に満ちています。望み、よくなるように日々努めていれば、ほんの少しずつでも体は答えてくれるはずです。

 幸いなことに今年の夏、酷暑にもかかわらずSatoshiは元気にすごしています。食欲も落ちていません。
 この日は、麻布チーズケーキ、サンクサンクのブルーベリーやかぼちゃのケーキを買って帰りましたが、
「ぼくは甘党だからね。2個ぐらいはいけるかもしれないよ」
 そんな冗談をいいながらパクついていました。
 食欲があるのは前向きな気持ちの表れ。ほっとします。
 
DSC_14181.jpg

posted by shebrokeherwrist at 22:35| Comment(0) | 女性シニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月27日

ミンミンゼミの鳴くころ

 ミーンミンミンミン……。
 ミンミンゼミの鳴き声が聞こえてきます。
 わたしたちの住まいはマンションの6階ですが、朝、空気の入れ替えのために窓を開けるとジジジーというアブラゼミの鳴き声に交じってミンミンゼミの鳴き声も。
 ミンミンゼミはどちらかというと暑さに弱いセミ、と聞いたことがあります。ずっと続いていた危険レベルの暑さはようよう峠を越したのでしょうか。
 でも夏はまだまだ続きます。

DSC_13761.jpg

 夕方買いものに出かけたら、スーパーマーケット、成城石井の前で仕事帰りのご近所の人とばったり。立ち話の話題はもちろんこの7月の酷暑。
「今日はわりあいすごしやすかったわ。気温は30℃くらいかな?」
 暑さの基準はいまや35℃を越しているかいないか、になっています。

 そういえば、7月23日は大暑でした。いちばん暑いとされる日もすぎ、次の節気は8月7日の立秋です。
 いつもなら7月末から、立秋をすぎて残暑が続くころが気分的には夏本番。いちばん暑くきつく感じるころです。

DSC_07541.jpg

 小さいころの夏のイメージも8月に集中しています。
 夏休みも佳境に入り、遊び呆けて、ついには夏の終わりの海でクラゲに刺されて手足が赤く腫れて泣いたり。
 当然のことですが、8月最後の週はわたしにとっては夏休みの宿題をすることに追われる悲しくつらい日々でした。

「小学校1年生の夏は、敷石の上に小石を並べて道をつくって、ビー玉を転がして遊んでいたんだよ。1人でね」
 好物のスイカを食べながら、Satoshiがぼそっと言います。
 うう、さみしそう……。クラゲがらみで、小さいころの夏休みのうれしくないけれども忘れられない思い出を聞いたときの話です。その夏は具合をわるくしていたためずっと1人遊びをしていたそう。

 あ、まあ、夏の思い出はいろいろありますが、これからも暑い日が続きます。
 ツクツクボウシが鳴くころまで、体に気をつけてすごしましょう。

DSC_13741.jpg
posted by shebrokeherwrist at 18:44| Comment(0) | 女性シニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月23日

中国人一家、炎天下の日本を行く

「広島では平和記念公園などに行ったのですが、ほんとうに暑くて……」
 中国遼寧省の港湾都市、大連から家族4人でやってきたドゥさんが大柄な体をすくめて、ふぅ、とため息まじりに話します。家族旅行はどうでしたか、と尋ねたときの話です。

 広島は20年以上前に彼が大学生としてすごした懐かしい街。
 猛暑の夏、彼らは7月13日からもう8日間、豪雨、そのあと猛烈な暑さが続く西日本や中部地方を旅しています。
 わたしたちは国に帰る前日の21日、いっしょにすごすことにしていました。

 ドゥさんは大連っ子でSatoshiが中国に赴任して仕事をしていたころの部下です。
 彼はわたしたちが帰国後もたびたび日本にやって来ていて、朝はやくSatoshiと待ち合わせていっしょに芝公園へ散歩に出かけたりしています。
 今回は、ビジネスウーマンの奥さん、ティンティンさん、9月から高校生になる長男のパォパォ君(愛称)、ピアノや絵が上手な9歳の長女メイメイちゃん(愛称)もいっしょの旅。

DSC_076711.jpg

「息子ががんばって勉強したので試験の成績がとてもよかったのです。うれしいことにいい高校に入ることができました。彼はいま14歳、彼女もいて、そういう年ごろなのかわたしや家族とあまり話をしたがりません。親離れももうすぐでしょう。親子そろっての旅行もこれが最後になるかもしれません」
 そう、この旅行の目的は家族の思い出づくり、のようです。

 広島で2日間すごした一家は、しまなみ海道を通って古い知り合いのいる愛媛へ。
「移動の途中で壊れた家などを見ました。被害に遭われた方たちはほんとうにお気の毒です。交通事情もまだあまりよくないところがありました」
  
 17日に富士山麓にある富士急ハイランドに移動。それまで暑さに閉口して外に出たがらなかった子どもたちはもう大はしゃぎだったそう。
「メイメイは遊び疲れて夜8時には寝てしまい、翌朝の8時まで起きなかったのですよ」
 ティンティンさんがメイメイちゃんの手を取ってやさしくさすりながら話します。そのティンティンさんは日本に来ておいしいものをいっぱい食べて体重が3㎏増えたとか。

DSC_11991.jpg

 富士山に登りたかったけれども諸事情で断念。河口湖周辺で遊び、東京に着いたのは20日の午後。
 翌日の朝、わたしたちは宿泊している新宿のホテルで4人と合流、男女3人ずつタクシーに乗ってお台場海浜公園にある室内型遊園地ジョイポリスに出かけました。
 ちなみにわたしたちがしゃべるのはまあいいかげんな中国語なんですが、日本語ペラペラのドゥさんがいるので意思の疎通はおおむねだいじょうぶ。

 ジョイポリスでは、杖を持っているSatoshiが係員に敬遠されてなかなかいっしょに遊べなかったのが心残り。
 遅い昼食を食べてからパレットタウンの方へ。大観覧車に乗り、ベイエリアから都心部までの眺望を満喫、と言いたいところですが、このころになるとみなちょっと疲れ気味の様子。麻布十番に戻って、夕食まで我が家で休むことにします。
 帰りの車のなかでメイメイちゃんが少し鼻血を出してしまい、すぐに落ちついたものの、あせりました。

DSC_11801.jpg

 アニメを見ながら部屋でのんびりすごし、6時すぎに家から5分ほど歩いたところにある評判のよい中国飯店、富麗華へ。いろいろな話をしながらゆっくり食事をしました。
 夕食が終わったあとホテルまで送り、お別れのあいさつ。お土産は十番通りにあるオリジナル絵てぬぐいの店、麻の葉の手拭い。疋田鹿の子絞りなど古典的なもの、舞子さんや金魚を描いたものなどいろいろ。もちろん中国の人のお気に入り、招き猫も忘れていません。

 猛暑が続く日本の夏でしたが、よい思い出づくり、できましたか。
 再見! みんな元気でね。

DSC_13611.jpg
posted by shebrokeherwrist at 17:54| Comment(0) | 女性シニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
よろしかったらクリックお願いいたします ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村